前略

最近、個人投資家についてのニュースをよく見るようになりましたね。



ところで、この記事を読んでおられるあなたは、どうして投資に興味をお持ちなのですか?
何事にも、きっかけというものがあります。

あなたの場合、そのきっかけは、ひょっとして……
  • テレビ番組、CM・広告、雑誌記事
  • 銀行・証券会社・保険会社の営業電話、窓口担当者の「ついでに」
  • 投資アドバイザー、コンサルタント、証券カウンセラー、ファイナンシャル・プランナー(FP)などの専門家
  • 資産運用についてのセミナー、講習会、勉強会
  • 「すごく儲けた」個人投資家のブログ・書籍
  • 友人・知人のすすめ
のどれかだったりしませんか?


さて、ここで質問です。
上記のうち、本当に信用できるものはいくつあるでしょうか?

…………。

残り時間……3、2……1! ハイ!!



正解はゼロです。


では、続けて第2問です。
全然信用できない上記のもろもろの中でも、とりわけ、一番うさんくさい、あなたが絶対に気を許してはいけないのはどれでしょう?

答えはこれです。
銀行・証券会社・保険会社 です。


金融機関と投資家は利益を奪い合う関係 *1
なので、しかたないですね。投資家からもらえる手数料ほど手堅いビジネスってないですし。



また、

売り手サイドが発信する情報は、常に、売り手に有利に働くように加工されています。
そろそろ金融商品の売り手と、私たち買い手では利害が対立する面があるという現実を認識してください。


自分にとって都合が良さそうにみえる金融商品は、すべて金融機関に都合のいい商品なのです。 *2



というわけで、テレビとか雑誌とか公式サイトとかで大々的に宣伝されているものほどあやしい商品となります。

具体的にいうと「レバレッジ」とか「オプション」とか「おまとめ」とか「カードローン」とか……ヤバ気なにおいがプンプンしますね。
実際に損をしないでこの手のやり口について知りたい方は、『投資信託にだまされるな!』っていう本の「第1章 こんな投信は買ってはいけない!」でも読んでみたらいいと思う。そんで銀行とか証券会社とかの「おすすめ」「キャンペーン情報」とかと比べてみるとイイデスヨ……?

もちろん、テレビや雑誌にとってのお客様は広告料を支払っている広告主なので、金融機関側に有利なことを言うのはしかたないです。



また、こと投資という分野においては、専門家に相談すればそれで安心というものでもありません。

 知っておくべきなのが、「金融のプロ」と称する人たちは、玉石混淆だという事実です。……
 ただ、少なくとも将来の予想が正確にできる人は、最初からいないと考えて臨んだほうがいいと私は思います。……

  その意味では、「必ず」とか「絶対」など、断定的なことを言う人は、玉石混淆の「石」かもしれないと疑っていいでしょう。金融や投資のプロなら、不確実性を身に染みて知っているので、常に「自分の言うことは間違っているかもしれない」ということを考慮したうえで発言します。「絶対にこうなる」と断言するのは、占い師や予言者のようなものです。 *3

さらにぶっちゃけて言うと、

一般に、コンサルタントと言う人種は顧客にとっては無意味な仕事を作ることがあるので、注意してください *4



……ここまでの話を読んだうえで、まだ気力の萎えていない猛者に向けて、一応、少しでも投資でもうけられるかのうせいがふえたらうれしいなー的なコツのようなものといえそうなものをとりあえず一応ご紹介しておきます。が、実行はくれぐれも自己責任でよろしくお願いします。どうなっても管理人は一切責任を持ちませんので。






<なにはなくともフローをプラスに>

まずはフローを常にプラスで回すことから


 ストックについては、減らないに越したことはないのですが、……短期的な変動をあまり気にする必要はありません。仮に半分になってしまったとしても、別に今使うわけではないのであれば、直接の打撃はありません。「自分が使うときまでに増えていればいい」という考え方ができるからです。来年使うお金だったら気にしなければいけませんが、そもそもそういうお金で投資をやるべきではないのです。先ほどもお話ししたように、投資に回してよいのは、最低一〇年ぐらいは使わないお金です。
 ストックに関しては、ちゃんとリスクが管理されているか、思った通りに資産配分できているか、などの現状を把握しておくことが大事です。

 逆にフローに関しては、「入るほうが出ていくよりも常に多い」という状態にすることが最も重要です。……
  フローさえプラスになっていれば、多少ムダ遣いしてストックが減っても困ることはありません。フローがプラスの状態で回っているかぎり、ご飯が食べられなくなったり、家賃が払えなくて追い出されたりすることなく、普通の生活を営むことができます。投資で損をしていても、毎月の支出が自分の収入の範囲内におさまっていれば、家計は破綻しないのです。 *5





<現在の財産と借金を確認し、自分のバランスシートを作る>
資産と負債を洗い出すと、自分のバランスシートができてきます。……

もしも、あなたがバランスシートの作成という段階にまでどうしても到達できないならば、本格的な投資はあきらめましょう。貯金に焦点を絞るべきです。

自分のバランスシートすら管理できない個人投資家が、本格的な投資で成功することはまず見込めません。自分のことを管理できなければ、投資を管理することはできないのです。……

バランスシートをモニタリングするという作業を続けることは、投資の修行そのものだとも言えるでしょう。 *6


<まずはリスクから考える>

投資において決めておかなければいけないのは、
リスクをとるかとらないかではなく
、どこまでどのようにしてリスクをとるのかです。

 自分のお金が、最悪の場合はどこまで減るかを想定しておく。
「それが現実になっても許容できる」という金額が、その人にとってのリスクの上限です。……

リターンからではなく、リスクから考えなくてはいけないのです。
具体的には、過去のデータを見て、一番下がったときはいくらまで下がったかを調べるのが基本になります。 *7


投資家は、何よりポートフォリオの下落があることを前提に「運用の設計図」を作る必要があります。
具体的には、「これくらいのマイナス幅なら許容できる」と思い描きながら、ポートフォリオを構築するのです。これだけのマイナスなら許容できるという目安を、投資家の「リスク許容度」と言います。

間違っても「○%くらいのリターンが欲しいから、このようなポートフォリオを組もう」という考えは持たないようにしましょう。そのような発想は、投資のマイナス部分にフタをすることにほかなりません。……

リスク許容度は、投資家自身が心情的に、そして財政的に自らを客観視して判断すべき事柄です。良い・悪いの問題ではありません。 *8




<自分に合ったポートフォリオを構築する>


 ポートフォリオは、投資家にとっては未来を映す鏡であり、今後投資を続ける「意思表示」そのものです。したがって、

①心情的に自分に合っていると思えること、
②自分のリスク許容度に合致していること、
③管理の継続性に問題がないことが重要です。……

投資とは、金融商品を選ぶことではなく、ポートフォリオを継続して「管理」することです。
したがって、投資家自身が無理なく管理できるポートフォリオであることが何より重要です。 *9


 <ポートフォリオを構築する際の「ルール」>

 ・最低5年、できれば10年超置いておける資金のみで構築する
 ・使用する道具は「面」で統一する(ETFか非上場投資信託)
 ・投資対象(国・地域)を分散させる
 ・投資対象(資産)を分散させる

……リスク資産部分で30~40%程度の下落は「起こりうる」ととらえるべきでしょう。


……まとめますと、ポートフォリオのリスクを制御するポイントは次のふたつです。
 ・安全資産を確保すること
 ・株式と債権のバランスに留意すること

  万一、株式のみでポートフォリオを組むと、相場が急落した際に、想定外のマイナスが発生する恐れがあります。このようなとき、人はパニックに陥り、保有するETFをあわてて売却してしまう可能性が出てきます。これは、一時的な損失を確定させることですから、切に避けなければいけません。 *10



<最後にもう一度おさらい、きほんのきほん>



特別な努力は何も必要ありません。投資について言えば、最低限……

・絶対に儲かるうまい話はない
・コストを下げるのが着実にリターンを上げる方法
・未来を予想しても当たらない
・知識がないのに株式投資をやっても勝てない
・有名な会社の株は、すでに値段が上がってしまっていることが多い
・新聞などに載る企業のプラス情報は、すでに株価に織り込まれている

 ……といったことだけ知っておけばいい。 *11



本書 (=『ヘタな投資に手を出すな!』) が理想的と考える運用のあり方……それは、「実行していることすべて自らに無理のない説明がつき、同時に納得できている運用」ということです。 *12



……長くなりましたので、そろそろこの辺で筆を置こうと思います。
ちなみに個人的には、
最強の資産運用って「借金しない」「節約」「貯金」だと思います。
早々  


平成27年7月13日
管理人 おとなつハカセ






<出典>

*1:内藤忍『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎、2009年) 158頁
*2:野田眞『ヘタな投資に手を出すな!』(かんき出版、2010年) 41頁,135頁
*3:内藤忍『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎、2009年) 160~162頁
*4:山崎元『ほったらかし投資術』(朝日新聞出版、2010年) 61頁
*5:内藤忍『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎、2009年) 39~42頁
*6:木村剛『投資戦略の発想法』(講談社、2001年) 52~53頁
*7:内藤忍『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎、2009年) 157頁
*8:カン・チュンド『ETF投資入門』(日本経済新聞出版社、2010年) 129頁
*9:カン・チュンド『ETF投資入門』(日本経済新聞出版社、2010年) 162~163頁
*10:カン・チュンド『ETF投資入門』(日本経済新聞出版社、2010年) 130~134頁
*11:内藤忍『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎、2009年) 183頁
*12:野田眞『ヘタな投資に手を出すな!』(かんき出版、2010年) 6頁