毒親関連のコミュニティを見ていると、しばしば見かけるのが『教育』に関する以下のような主張です。

「自分は毒親のせいでまともな『教育』が受けられず、不幸な人生を歩むはめになった」

「なんだかんだ言っても日本は学歴社会だ。
 だから『教育』に金をかけてくれる親は、毒親なんかじゃない。
 たとえ毒親だったとしても、うちの親に比べれば毒親度は断然低い」

「虐待されたうえに低学歴の自分のほうが、ずっとずっと不幸だ。
 虐待はされたが高学歴のあなたが、親に文句を言うなんて、そんな甘えは許されない」


 ……こういうことを言う人は、ただひとつの、ある重要な点を見落としています。
 それは、毒親が子どもに与える『教育』とは、

 カネだけ払って子どもの世話と将来を塾や学校にぶん投げる

 という手抜きにすぎないことです。



 ぶっちゃけ、低学歴だろうが高学歴だろうが、虐待された子どもの心理状態は大して変わりません。どちらももうボロボロです。
 それに、どちらもまともな(本来の意味での)「教育」は受けていません。
 彼らが受けたのは、毒親が自分に都合のいい子どもを作り上げるための「洗脳」です。


 さらに言えば、
機能不全家族における「学費」というものは、詐欺でいう「見せ金」のようなものです。もっというと、「ネガティブ・オプション」「送りつけ商法」という悪徳商法に近いものがあります

 子どもに学歴をつけさせるタイプの毒親は、本人の意向も精神状態も、健康も命すら考慮せず、なにがなんでも
「いい学校」=「子どもの能力を伸ばす学校ではなく、偏差値の高い学校・有名な学校・親や親戚の出身校」に入れようとします。

 逆らおうものなら虐待です。
 生殺与奪の権利を握られている子どもにはいい学校に入る」か「壊れる」かの2択しかありません



 死ぬ思いで勉強し、入りたくもない学校に入れられた子どもに向かって、毒親はこう言います。
「大学まで出してあげたんだから、ちゃんとしたところに就職してよね」

 そして子どもは「いい会社に入る」か「壊れる」かの2択を迫られます。
 ここで壊れた子どもはニートやひきこもりや精神病患者になり、いい会社に入った子どもは「お父さんお母さんのおかげで、そんないい会社に入れたんだから~~」と無限ループに突入です。


 学歴の有無、暴力の有無、性的虐待の有無にかかわりなく、毒親の子どもはみな被害者です。
 被害者が被害者と争うという状況は……どちらも追いつめられているので、いたし方のないことなのかもしれませんが……何かこう、切ないものを感じずにはおれません。