発達障害は難しい。

 子育てはただでさえ難しいのに、ADHDの子をリッパに育てるなんて普通の人には不可能だ。だいたいADHDの育て方なんて、たぶん専門家ですらよく分かっていない。
 つまり、素人の親であるあなたが子どもをうまく育てられなかったとしても、それはあなたの罪ではない。恥でもない。だから特に気にせず子どもなんかテキトーに育てればいい。

 ……とはいうものの、この記事を読んでいるということは、おそらくあなたは
「そうは言っても、できることならリッパに育ててやりたいし、なるべくみじめな思いはさせたくない」と思っておられるのであろう。


 管理人は発達障害である。ADHDである。
 元ニートでひきこもりで現在フリーター、就職活動中である。
 子どもを持ったことはなく、親の立場は一切知らない。

 このように残念なでき上がりに育ち上がってしまったので、正しい子育てについてはとんと存じ上げない。しかし、管理人は実際に失敗した子育て1パターンだけ知っている



 なお、この記事を読んでいるあなたが、もし万が一ADHDであり、
親にこれらの「べからず」をフルコースでやられた結果、現在もなお何かに苦しんでいるのなら、親の愛情の有無、発達障害への理解の程度にかかわらず、キレてよい

(※ここでいうキレるとは、親を殴ったり殺したりすることではなく、
  自分で自分の仕事を決め、住みたいところに住み、つきあいたい人とつきあい、
  親の援助と介護とヒマ潰しのお相手を拒否することである)。



 前置きはこのぐらいにして、さっさと本題に入ろう。



1.宿題は提出させるな、朝は起こすな、忘れ物と遅刻をさせろ
 管理人は20代半ばになるまで「約束の時間に遅れない」「前もって準備する」「失敗したらカバーする」という芸当ができなかった。
 こんな基本的なことがなぜできなかったかというと、今ふり返ってみれば、解答は一つである。「他人がしてくれることのやり方を覚える意味がない」からだ

「失敗させて辛い思いをさせないように」などと親切心を出すのは愚の骨頂である。
 さらに言えば、この手のセリフを吐く人は、たいてい子どもではなく自分の身を案じている。子どもの失敗によって傷つくのは本人の心でもなく経歴でもなく、親の実績である。

 ADHDの人間にどれだけすっぱく言い聞かせても無意味である。
 側にいて100年言い聞かせ続けるより、1分間放っておくほうが彼らには効く。
 われわれはどんなに見える落とし穴にもひるまず突っ込んでいくし、何度か落ちれば這い上がり方を覚える。



2.迷ったらとりあえず口をつぐめ
 あなたはオオカミ少年というお話をご存知だろうか。
 子どもにとって親の言うことは99.9999999%がこれである。

 われわれも人間なので、同じ内容をくり返し言われると飽きる。

 さらに、「この人はつまらないことばかり言ってくる人だ」と判断したが最後、われわれはその発言が役に立つものかどうか判断することさえ投げ捨てる。

 どんなに自分のためになる情報であろうと、面白くないことは聞かない。
 ただでさえ限られた「聞く耳」というリソースを、つまらぬ親の言うことなどに割いている余裕などないからだ。



3.人様に迷惑をかけない子に育てるのをあきらめよ
 ADHDの人間にそんな芸当は不可能だ。
 われわれは土台からしてミスを減らすことに向いていないのだから、失敗しないことなどありえない。
 どれだけ失敗をくらわせてもかまわないから、成功させろ。そうしているうちに、なぜか失敗も減っていく。



4.やり方を教えるな
「出すべき結果」は要求してもいいが、そこにたどり着くまでの手順は指示するな。
 われわれにとって最適なやり方はわれわれ自身が決める。



5.しつけの際には「人間は汚く愚かな生き物だから、保身のためにこの技を伝授する」と言え

 人間は本質的に愚かである。もしくは汚い。
 ときどき本当にやさしくて賢い人もいるが、そんな人は全体の0.000001%にも満たない。
 そんな超少数派に対応した「いい人向けマニュアル」を子どもに叩き込もうとするな。

 ……人への信頼感を育てたい? ……子どもの夢を壊したくない?

 どこにでも嫌な人間はいるのだから、永遠に守り続けられる夢など存在しない。
 したり顔で「みんなほんとはいい人なのよ」などというセリフを吐いたが最後、あなたは自動的にとんでもない大ウソつきか救いがたい阿保になる。

 無駄な防衛コストを割いて惨事を先送りし、後になって恨まれるぐらいなら、さっさと自分の手のうちを明かし、「対ダメ人間マニュアル」を叩き込むほうがよい。
 ちなみに、この手のノウハウはいわゆる「人を使う技術」「モノを売るための手法」という本から抽出することができる。

 完璧にすばらしい人間が存在しないように、完璧にダメな人間というのも意外と少ない。「一見ダメそうな人間をおだてる技術」を身につけておくと、相手の対応が目に見えてよくなり、結果として子どもの周囲にはやさしく賢い人間があふれる。








<ADD・ADHDのお子さんをお持ちの方へのおすすめページ>
ADHDケアの第一原則(外部リンク) ←おすすめ!

ADHDの理解(外部リンク・下へスクロール)
 本人から家族・周囲の人へ
  • 「脳の働きが違う少数派」と理解し、状況が分からない意味で多数派とは違うことを自分でわきまえる。
  • 無条件に多数派に合わせることは不必要で、本来は自分で納得するように行動すればよい。
  • 自分で納得した上で、どうしても世間と両立させなければいけない部分を現実的に妥協すればよい。
  • 過集中と虚脱の自分の脳のパターンをよく理解し、うまく使う努力をする。
  • また自分の脳の働きと多数派の違いを理解する努力を続け、多数派の行動を理論的に想像して状況の分からない部分を補うようにすると、ある程度は合わせられる。

 家族や周囲の人から本人へ
  • 「脳の働きが違う」と理解し、「怠け」や「悪意」とは考えないようにする。
  • 脳の働きの違いをよく観察し、常識や多数派の論理を出来るだけ強制しないように努力する。
  • 本人に話すときには、省略や指示語は避け、できるだけ明解にはっきり伝える。
  • 遠まわしな表現や皮肉、冗談は理解できないので、本人に対しては使わないようにし、また理解することを強制しない。
  • 多数派に合わせるときの本人のストレスを理解する。 →引用元(外部リンク)