時と場合に応じてお好みのものをお使いください。


<目次> ※クリックすると飛びます
1.その場を去る
2.「傷ついた」「へこんだ」と言う
3.「やめてください」と言う
4.反撃する
5.挑発する
6.スルーする、無反応
7.いったん相手の言うことを認める
8.むし返された過去は『過去』にする
9.「しょうもない人も同じこと言ってたよ」と言う
10.身体技法
11.心がまえ





1.その場を去る

 対人関係は車の運転のようなものです。こちらがいくらキチンと交通ルールを守って走っていても、相手のほうで勝手に暴走してぶつかってくることがあります。トラブルを完全に避けることは、誰にも不可能なのです。
 暴走車だなと思ったら、なるべくそばに寄らないようにするしか手はありません。  *1






2.「傷ついた」「へこんだ」と言う

「これマウンティングかな?」と思ったら……
瀧波 「その言い方はちょっと傷つくな~」とか、その場でストレートに返せれば一番いい。一日経ってから「あの言い方はどうかと思う」みたいなメールを送ると角がたつし。
犬山 「一日中、そのこと考えてたんだ」って根に持ってる風に思われるのもイヤだし。
瀧波 切り返し方と瞬発力が大事。
犬山 瞬発力に自信がない人は、瀧波さんが言ってたみたいにタイムを取るといい。「私いま、ちょっとモヤモヤした気分になってる。よし、タイムを取ろう!」って。 *2


自虐ネタで切り返すうえで最も簡単なテクニックが、ヘコんだことを素直に認めてそれを口にするだけの『ヘコみ認め』です。例のようにヘコむわ!」とつっこみ口調を使うと、悲愴感は拭われて周りにも確実な笑いを振りまくことができます。 *3


 我慢ならない相手に攻撃されたとき、どうするのか? そんなときは、小さく威嚇するのです。……
 静かに! そして語尾を下げて――。
 「傷つきました↓
 これで、OK。ポイントは、相手を攻めず(原文ママ)に自分の気持ちを伝えることです。
 これが、意外と効きます(男性上司にも応用可能です)。たいてい部下は、上司から攻撃をされれば、
 ・謝る、もしくは黙る
 ・泣く
 ・反発する
 ですが、攻撃された「感想」(自分の気持ち)を言う人はいません。あなたが「傷ついた」ということを開示することで、相手もはじめて「えっ、傷つけてしまったの、私?」と気づきます。
 そうすると、相手も「どうしよう……」と思うのか? 「そんなつもりじゃなかったんだけど……」と、手のひらを返したような対応に出ます。
 心配性の上司だったりすると自分の言ったことも忘れ、大ごとになるのではないか? と不安になるのでしょう。「私、言いすぎたわ。ごめんなさいね」と謝罪する人もいます。 *4






3.「やめてください」と言う

瀧波……イヤな方向にいじられたら、「そういうこと言われたくないなあ」って即座に意思表示したほうがいい。
犬山 「私はいま、あなたにマウンティングされてることに気づいてますよ!」というアピールですよね。延々とマウンティングされるまえに釘をさしておく。
瀧波 「あなたの策略に気づいてますよ」というメッセージを出せば、しかけた側は「しまった!」と思う。 *5


 ここでは「ごめんなさい」で一旦発言を止め、「イジるのだけはやめて下さい!」とキレながらもしっかり要望を伝えています。
 それからすぐに「あ…、すみません」とハッとしたように謝罪していますが、例によって゛イジられて傷付いたはずの人物がそれでもなお場の空気を大切にし ようとする健気さ"を垣間見せることで、第三者を味方につけているのです。マジギレしたとしても、この謝罪一つで「空気が読めないやつだ」という非難をか わすことができます。
 加えてここで「失礼します!」と席を立っています。取り返しのつかないことをした西野くんに対し、周囲には「西野くん、やらかしちゃった」という西野バッシングの空気が確実に生まれます。こうした行動によっても西野くんの立場を危うくさせることができるのです。 *6






4.反撃する

 村山先生に最も困らされるのは、異常なまでに怒りの感情を爆発させたときです。注意深く観察してください。村山先生は徐々に、その行動や言動が常軌を逸し始めるはずです。
 そこから生まれる、言い過ぎな言動ややりすぎな行動を゛隙"と捉え、言い返してみてください。口調が荒くなり過ぎたとき、体に触れてきたとき、身内が非難されたときなど、反撃できる゛隙"は確実に押さえ一気にやり込めましょう。……

謝罪から反撃に切り替えるときは……急激にテンションを変えると冷や水効果が高まります。そこから少しずつ怒りのボルテージを上げているのもポイントです。……

■暴力を振るってきたとき
■過去に清算した失敗を引っ張り出してきたとき
■見た目をバカにされたとき

 など、反撃の゛隙"は様々ですが、部下や家族、友人など、誰かへの思いが強いばかりに反論してしまったというかたちが最も理想的です。 *7






5.挑発する

すぐにキレてカッカしてしまう人間……と職場で接していかなければならない場合には、一言釘を刺してから話をはじめると、急にカッとして怒り出されたりせず、不快感を覚える被害も減るでしょう。
「その件だけどさ、君落ち着いて冷静に最後まで話を聞いてくれるかな?」
「今日は、カルシウム足りてるのかな?」
 こういう皮肉なセリフを前置きしただけで、「何だよ、それ(怒)、どういうことだよ、失礼な!」と、たちまち怒り出したりしますから、「ほうら、もう怒り出した!」と突っ込みを入れてやりましょう。
 すると、ハッとなって気づいてくれる場合もありますが、開き直って「当たり前だろう、お前が失礼なことを言うからじゃないか!(怒)」と嵩にかかってくる場合もあるでしょう。

 しかし、それでよいのです。二~三度こういう牽制を繰り返してやれば、学習効果が効いてきます。 *8






6.スルーする、無反応

相手と関わりを持つことなく、距離を置くのに格好のセリフがあります。
 相手の指摘に何の興味も関心も示さずに、「別に」と言えばよいだけなのです。……
 また、これと同じような効果を持つセリフに、はじめに「ふーん」とうなずくような仕草を見せて、ひとこと短く「そう…」とだけ答え、他のことに取りかかってしまうというものもあります。 *9


 相手が攻撃を仕掛けてくる目的はただひとつ。あなたを挑発しようとしているから。あなたの弱みを見つけてチクチク刺す。こんな 攻撃にケリをつける最も有効な方法は(気持ちを切りかえるためにも)、相手の挑発に乗らないこと、そして相手の言葉を無視することです。ちなみに私の場合 はいたって簡潔♪……
「それが、何か?」……
「そう」
とだけしか言わない。 *10


 攻撃されたときのポイントとしては、相手の攻撃を受け止めないことです。
 そして、「なぜ、あの人はあんなことを言うのだろうか?」とか、「どうして、あんなことで怒るのだろうか?」などと、自分の一部にして考え込まないことです。

 一番簡単な方法は、とにかくスルーすることです。……
 私の女上司は些細なことですぐに、ヒートアップします。たとえば、
 「ちょっと! なんでこの紙を捨てるの! 裏側がまだ使えるでしょ!」
 と朝っぱらから叱咤。
 こういうときには一言でその場をサッサと逃げるしかありません! これは、とても簡単♪
で・す・よ・ね~↑
 と語尾を上げて↑スルーするのです。
 これで、OK♪ しかし、この後に余計なことは言ってはいけません。 *11






7.いったん相手の言うことを認める

自分自身の誤りを認めることは――たとえその誤りを正さず、そのままにしておいても――有効である。 *12


 口論や悪感情を消滅させ、相手に善意を持たせて、あなたのいうことを、おとなしく聞かせる魔法の文句を披露しよう――

「あなたがそう思うのは、もっともです。もしわたしがあなただったら、やはり、そう思うでしょう」。

 こういって話をはじめるのだ。
 どんなに意地悪な人間でも、こういうふうに答えられると、おとなしくなるものだ。しかも相手の立場になれば、当然相手と同じ考えを持つわけだから、この文句には百パーセントの誠意がこもるはずだ。 *13


相手の思いを肯定的にとらえてやりながらでも、立派に反論できます。
「私も賛成です」のあとに、「ただ、こういうことも考えられます」と付け加えるだけで、相手の考えを思い通りの方向に誘導できるのです。 *14






8.むし返された過去は『過去』にする

「あのときのことで、まだオレは怒っているんだぞ!」と言われたとき、「あのとき」は過去でも、怒っているのは現在です。
 でも、それをあえて、「あのとき、あなたを怒らせてしまったのね」というふうに、怒ったことも過去にしてしまうのです。
 過去にも怒ったはずで、この言い方は間違っていません。そして、「怒ったのは過去のこと」ということを、相手に意識させる効果があります。 *15







9.「しょうもない人も同じこと言ってたよ」と言う


城田くんは「ケチをつけることで自分の存在をアピールしたい」と思っているような節があります。そんな……城田くんは、「自分の ケチの視点や考え方は他人より優れている」と思っているからこそ、空気を壊してまでケチをつけてくるのです。そのため彼は、その視点や考え方が他人と一所 だと非常に残念に思い、それを恥ずかしいとさえ感じます。
 そんな城田くんに「しょうもない人も同じことを言っていた」と言えば、彼にカウンターを食らわせることができるでしょう。ちなみに、゛しょうもない人"は、その分野で認められていない有名人でもけっこうですが、城田くんの身近な人間であれば、よりストレートで有効です。 ……

■酔ったときのうちの親父みたいなこと言いますね!
■ボケたばあちゃんも似たようなこと言ってましたね!
■こないだTVで寺田も同じことコメントしてました! 寺田って最近捕まった連続下着泥棒なんですけど。 *16






10.身体技法

イヤな相手から毒のある言葉を投げかけられた時には、動物が他の動物に遭遇した時と同様に、私たちの心と身体には身を守る手段として、交感神経が活発にはたらき、全身を緊張状態に導いていくというメカニズムがあります。……
 では、どうしたら、このような本能行動を抑えることができるでしょうか。極めて有効な方法を紹介しておきます。
 次のように、まったく逆の本能行動が起きるような動作を意図的に行うのです。すると、たちまち冷静さを取り戻し、交感神経のはたらきを鈍くさせることが可能なのです。



(1)深呼吸:ゆっくり落ち着いて、心の中で数を数えながら深呼吸を繰り返す。
(2)目を細める:見開きがちの目を遠くを見るような形に細める。
(3)掌の汗を拭う:ズボンに押し当てて汗を拭い、掌を開いたままにする。
(4)肩を落とし、全身の力を抜く:全身をダランとさせて、脱力状態にする。



 つまり、リラックスした体の状態を自らの意図的な演出で作り出し、交感神経のはたらきではなく、副交感神経のはたらきを誘導するように仕向けるとよいのです。 *17






11.心がまえ

(クレーマーは) 世にいう厄介な人や面倒な人、困った人と同じなのですから、こんな人たちに振り回されていたのでは、こちらの精神状態がおかしくなっても不思議ではありません。
 もちろん、彼らの目的は、こちらが疲労困憊し、音を上げて要求に応じてくれれば御の字なのですから、それに負けてしまってはいけません。……
 したがって、ここで強調しておきたいのは、真面目に、緊張して、全力で立ち向かわなければ、という思いを捨ててしまいましょう――という点です。……
 社会通念を逸脱していると思われるような、法外に大きな要求をしてくるクレーマーは、その時点からお客と思っては駄目なのです。
 同様に、パワハラ上司や、ヒステリックな上司、嫌味な同僚も、あなたに害を加えてくる存在ですから、尊敬すべき、信頼すべき対象者と思ってはいけないのです。 *18


なぜ、正しさを証明するために相手をこき下ろすのか……
権力好きの人は誰でも最初から高圧的かというとそうではありません。
 権力は、何かあった時にひとつの手段として立ち現れてきます。相手に従属や支配を求める時、つまり、相手が自分に反発した時ににょっきり顔を出すのが権力なのです。
 その場合便利なのが"正しさ"です。それは権力行使を正当化できるのです。そのためには相手や部下がいかにダメかを証明せねばなりません。正しさを武器に権力を行使しようと思えば、相手をこき下ろさねばならなくなってくるのです。……

「私の知人デザイナーも毅然と拒絶しましたが、聞き入れられなかったようです」
「じゃ、その人、なめられたのね」
 つまり、そういうことなのです。
 デザイナーが毅然としたか否かではなく、拒絶した人間がその女性にとってどういう位置づけだったか、が重要だったのです。……

 自分の正しさを証明するために相手をこき下ろそうとするタイプの女性は、相手を従わせたいのです。……
 こういう女性と接するには、最初に、なめられないことが命綱になります。……

 こき下ろされてからは打つ手はありません。
 こき下ろされる前に、もっと初期段階でこれを回避したほうが得策です。
 何かシグナルがあるはずです。

「あれ? ちょっと失礼じゃないの?」とチラと感じることがあった時、その時が関係性を是正するチャンスです。

 事なかれ主義の配慮は後に悔いを残す結果にもなりかねません。……失礼があればちゃんと怒りましょう。しっかり怒ることでなめられない関係性を早期につくりましょう。 *19


破綻した人間関係に対するより現実的な考え方とは、その人間関係が終わりを告げようと、一生ものになろうと、それをある種の研究材料として捉えることです。関係の終焉を失敗と考えることによる苦痛も、それで大きく緩和されます。 *20









<出典>
*1:津田秀樹、西村鋭介『傷つかない&傷つけない会話術』(マガジンハウス、2010年) 134頁
*2:瀧波ユカリ、犬山紙子『女は笑顔で殴りあう』(筑摩書房、2014年) 230~231頁
*3:楠元博丈『出世するキレ方』(文響社、2012年) 16頁
*4:美藤いづみ『女子が書いた女子のための女子のトリセツ』(すばる舎、2011年) 96~97頁
*5:瀧波ユカリ、犬山紙子『女は笑顔で殴りあう』(筑摩書房、2014年) 234頁
*6:楠元博丈『出世するキレ方』(文響社、2012年) 19頁
*7:楠元博丈『出世するキレ方』(文響社、2012年) 165~168頁
*8:神岡真司『クレーム・パワハラ・理不尽な要求を必ず黙らせる切り返し話術55の鉄則』(TAC出版、2010年) 138~139頁
*9:神岡真司『クレーム・パワハラ・理不尽な要求を必ず黙らせる切り返し話術55の鉄則』(TAC出版、2010年) 95~96頁
*10:美藤いづみ『女子が書いた女子のための女子のトリセツ』(すばる舎、2011年) 216頁
*11:美藤いづみ『女子が書いた女子のための女子のトリセツ』(すばる舎、2011年) 91頁
*12:D・カーネギー『人を動かす[特装版]』(創元社、2007年) 284頁
*13:D・カーネギー『人を動かす[特装版]』(創元社、2007年) 236頁
*14:神岡真司『クレーム・パワハラ・理不尽な要求を必ず黙らせる切り返し話術55の鉄則』(TAC出版、2010年) 219~220頁
*15:津田秀樹、西村鋭介『傷つかない&傷つけない会話術』(マガジンハウス、2010年) 98頁
*16:楠元博丈『出世するキレ方』(文響社、2012年) 111~116頁
*17:神岡真司『クレーム・パワハラ・理不尽な要求を必ず黙らせる切り返し話術55の鉄則』(TAC出版、2010年) 26~28頁
*18:神岡真司『クレーム・パワハラ・理不尽な要求を必ず黙らせる切り返し話術55の鉄則』(TAC出版、2010年) 54~55頁
*19:遙洋子『気難しい女性との上手な接し方』(朝日新聞出版、2010年) 49~60頁
*20:ピア・メロディ『恋愛依存症の心理分析』(大和書房、2001年) 208頁